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2014年 9月 7日(日)付、「文芸同人誌案内」掲示板より転載・投稿者:kitaohi

【「 蛇苺の紅?愛しい人たち・断片?」納富泰子】
《?断片その1?》
「オランダ靴」
 70歳に手が届きそうな年齢になって40歳過ぎてから大学内の研究所で働いたころの思い出で、面白く読むことができた。
 ここで働いている者はヨリ子、ヤンバル嬢(綽名、22歳、口の回転が速い)、フラミンゴ(ヨリ子がひそかに呼んでいる名、20代半ば、背が高く美人、実家は病院、頭はいい、しかし、独り暮らし)の3人である。向かいの建物は法医学棟であり、時どき司法解剖が行われる。
 ある日、ヤクザの親分の司法解剖が行われ、6人の子分が法医学棟に一列に並んでいるのが3人の事務室から見えた。その子分が次々とトイレを借りに来る。子分とのやり取り、子分がオランダ靴を履いて用をたす様などがうまく書かれている。
 私事になるが、私が現役の頃勤務していた会社の隣に中華料理店があり、そこで関東20日会(かんとうはつかかい)というその筋の昼食会が毎月行われた。その日は付近の道路は外車の路駐で一杯になり、その車の周りで黒い背広を着た明らかに筋モンと分かる者が2、3人、昼食を終えて出てくる親分を待っている。
 毎月20日の11時40分位から14時ごろまでは異様な雰囲気だった。しかし、子分たちが勤務先のビルにトイレを借りに来ることはなかった。その日は2人の守衛が入口に立っていたからである。50年ぐらい前の話である。この作品を読んで当時を思い出してしまった。
 ヤンバル嬢など人物の描き方もうまく、筋モンもリアリティがありいい作品である。

《―断片その2?》
「忘れるまえに」
 昭和36年(より子の高2)からの思い出を書いた作品である。より子、伯母(亡父の長姉)より子の母、より子の小学校のころからの友達のユミ子が主な登場人物だ。
 ストーリーは父親が亡くなったときに一緒に住もうといった伯母がいい、それを真に受けて荷物と一緒に伯母の家に行くと伯母は一緒に住みたくないという。伯母との確執、引っ越すために飼い犬のクロをユミ子に預けに行くことなどがとてもうまく書かれている。伯母は認知症になり、東京に住んでいる伯母のところに移り、施設に入り亡くなる。
 この作品を読んでからKORN2(2013.4)の「蛇苺の紅――愛しい人たち――」を思い出し、その際の読後感を読み直してみた。KORN3の作品が作者の原点で、KORN 2の作品はその延長線で創作されたのかという気がしてきた。
 この作品は作者の原点と考えると、作者の前作が理解できるように思えた。いい作品である。

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「KORN」2号(福岡市)

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<2013年 6月 9日(日)付、「文芸同人誌案内」掲示板より転載・投稿者:納富>

あんな長い拙い作品を、2回も読んでくださったことに、とても感激しています。一回目のご感想も2回目のご感想も両方とも、私の考えていたこととほぼ合っていると思います。
人間とは、とても複雑な生き物で、他人が簡単に裁くことはできない存在である、とそれが言いたくて書きました。
「他人を苦しめる人でも、その苦しめる心の内側には、他人にはわからない激しい葛藤があり、自分の感情をコントロールできない苦しさがあったのではないか」と、主人公が思い至るまでの、40年にわたる経緯を書きたかったのです。振り返ってみればみんな愛しい人たちだった、と思えるまでの40年を。
読まれる方にうまく伝わるかどうか、自信がありませんでしたが、kitaohi様は分かってくださった、と感じております。
同人誌に出した作品を、最後まで読んでもらえた、というだけで、書くほうはとても嬉しいものです。そのうえ、丁寧な感想までくださいましたこと、心から感謝いたします。有難うございます。

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「KORN」2号(福岡市)

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<2013年 6月 8日(土)付、「文芸同人誌案内」掲示板より転載・投稿者:kitaohi>

蛇苺の紅ー愛しい人たちーをよんで
遠近のkitaohiです。KORON2を送っていただき、蛇苺の紅―愛しい人たち―(KORON2 2013.4発行、納富泰子)読みました。いつものように、読後感をここに載せさせていただきます。偏見で、的外れな読後感と思いますが、お許しください。

 原稿用紙200枚以上の大作である。KORON2を送って頂きすぐに読んだが、感想のメモは書かずにそのままにしていた。その後、メモを書こうと思って再読した。再読して自分の読後感が最初と違っているような気がしてきた。最初に読んだときは面白さもあり一気に読めた。2度目は私自身の友人などで亡くなった人を思いながら読んだこともあり、生きているときの友人に対する気持ちと亡くなって数年してからの気持ちが違っていることに気が付いたからかもしれない。

 依子は夫源吾の養母お松さんが亡くなってから、お松さんが残し『記録帳』を読み、源吾一族の関係が分かってくる。

 お松さんは源吾の実父寅太郎の姉で、源吾が小学校4年の時に独身のお松さんの養子になる。養子になったのは、実母のおミヤさんの生家がおミヤさんの兄の放蕩のため借金のカタに取られそうになり、それを避けるために、お松さんから金を借り、代わりに源吾を養子に差し出すことになったからである。しかし、源吾はお松さんの作る食事が合わず、5日足らずで実家に逃げ帰る。お松さんは小学校の教師で、転校先では担任教師でもあった。実母のおミヤさんはお嬢様育ちで、子供を叱ることはなかった。一方、お松さんは、姉が東京の人と結婚して家を出た後は弟(源吾の実父寅太郎)と老母の生活を支えるなど苦労している。

 依子は、おミヤさんとお松さんとの中間といった立場でおミヤさんからはお松さんの悪口を聞き、お松さんの言動と『記録帳』からお松さんのおミヤさんに対する気持ちを理解する。

 ストーリーは、おミヤさん、おミヤさんの長男一郎夫婦との関係、お松さんの親族の関係などのドロドロした部分を中心に、お松さん、おミヤさん、寅太郎の死後まで続く。お松さんの古い家のおどろおどろした部分もしっかり書き込まれている。

 2回目に読んだときは、読み終えて疲れが出るような作品だった。最初に読んだときはおミヤさん中心の作品で、おミヤさん、お松さんともに表面的な部分は別にして、人間としては愛すべき人物と書こうとしたのかと思った。しかし、よく読んでいくと、生きている人間同士で争っているときは絶対に許せないような事項も、死んで何年か経つと、憎しみ合ったことや許せないと思ったことも愛すべきことに思えてくる、ということを書きたかったのではないかと考えるようになった。この考えは、あるいは作者の意図することとは違うかもしれないが、私自身は、自分の経験も含めて、そのように読んだ。作者の意図からは的外れのような読後感になってしまったことをお許し願いたい。

 長編で素晴らしい作品であることは間違いない。

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「KORN」

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2013年5月16日 (木)「文芸同志会通信」http://bungei.cocolog-nifty.com/より転載いたします。

投稿: 納富泰子
このたびは、たいへんご丁寧なご批評を賜りましてありがとうございます。
今までは「毒にも薬にもならない小説」を書いてまいりました。
しかし、今回は、おっしゃる所の「いやらしい」小説に挑戦しました。ある人間にとことん苦しまされても、どのように耐えることができるか、しかも、長い歳月の間に、その人をだんだんに理解し、愛しいと思えるまでの、長い心の闘いと、誰にでも愛しい面があることを、書きたい、と思ったのです。

今回は今まででいちばん多くの、さまざまな感想が届きました。
そして、思ったことですが、「小説とは、書き手だけで出来上がるものではない。読み手の精神性の在り方によって、変容する。いくつもの小説が、最後に出来上がるのだ」と、目から鱗のように理解ができました。
非常に面白い発見でした。いや、もとから分かっておられた方は、同人誌には多いでしょうね。

読み手によって、毒にも薬にも変容するのが、小説です。これには、興味をひかれました。
毒にも薬にもならない小説は、読み手によっての変容が少ない。それでは物足りない。

これからも、人間の心の襞をさぐってひたすら書いていきたい、と、思いました。
長い小説を読んでくださり、ご親切なご批評を頂きましたこと、心から感謝しております。

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2013年5月11日 (土)付、「文芸同志会通信」http://bungei.cocolog-nifty.com/より転載いたします。

【「蛇苺の虹―愛しい人たちー」納富泰子】
 昭和の時代に、血縁、地縁の一族の栄枯衰勢の末に滅んだ民衆の物語である。親族がお互いに助け合い、強い絆があるが、そのかわり私生活までずかずかと踏み込み合う。孤独死は滅多にないが、お互いの生活に踏み込み合って、個人は親族のしきたりのなかに埋もれてしまわないと許されない。そういうべたべたとした関係がまた生きがいになる昭和の庶民たちだった。そういう個性をゆるさない、もたれあいの社会をみっちりと描く。本書の第1号の納富さんの作品も読んでいたが、短すぎて作者の手腕が小手先芸に埋もれてしまっていた。道端の雑草ような、どこにでも見られる身辺雑記物に毛の生えたものとの相違が明確でなかった。それを指摘すると、折角の門出に、悪口に思われて気分が悪かろうと、紹介の対象にしなかった。
 それでもしかし、この作品は長いため、日本人社会のつながりの原点をじっくり表現して、今は失われた世界を滅びの美学の視点描く。エピソードが生きて、表現のエネルギーとしてまとまっている。1号と2号を合わせ読むとさらに良いのではないかと思う。問題提起と作品的な回答は同じ画布にあり、絵巻物のようににつながっている。
 そういうわたし自身、漁民の家であった。海の農民の長男である。総領の甚六という。本家、分家、新家と先祖伝来のしきたりの中で、くだらない同族意識の愛憎に付き合わされてきた。その絆の親たちも親戚もほとんどが、亡くなってしまった。たとえ良いことでも、不愉快で思い出したくもない。たしかにここに出てくるようなおばさんたちがいましたよ。しかし、本作品を読んで、その嫌悪感も愛情のうちなのか、と思った。小説としてはつまらない部類だが、それに惑わされすに読んでみるものである。こういう気持ちの悪い日本人の世界を、美学的にも思えるように描くことのできる納富さんは魔女でしょう。
発行所=〒811?1353福岡市南区柏原2―23?5、納富方。
紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一

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<2012年 8月18日(土)付、「文芸同人誌案内」掲示板より転載・投稿者:kitaohi>

 遠近のkitaohiです。KORN1号を頂き、納富様の作品だけ読みましたので、読後感を送ります。例によって的外れだと思いますが、その点はご容赦ください。

【「帰郷」納富泰子】
 祖父の遺産相続(資産価値の少ない山林)の関係で、叔父が良子もとに訪ねてきて、叔父の話から異母姉妹である涼子が、同じ福岡県の博多区でスナックを経営していることが分かる。
 涼子(47歳)と良子(42歳)(ともに「リョウコ」と読む。)は、電話で連絡を取り合って涼子のスナック「粋族館」で会うことになる。小説の主人公は良子(私)である。涼子は表情が生き生きとし、声は嗄れているが、カラオケは、声量があり情緒もありうまい。私は、顔だちも地味で蒼白く貧相なので、「ミス幽霊」あだ名がつくような女だ。2人は週に1度ぐらいの間隔で「粋族館」で会った。涼子の母親と父親が別れた理由なども分かった。「粋族館」で涼子に会っているうちに、九州に単身赴任している「しろちゃん」と恋仲であることも分かる。しろちゃんは一回りも年下である。
 涼子は自分の家(家は春日市にあるマンションらしい。)には私を招待しなかったが、私は家に招待した。母も挨拶に離れから来た。
 その後涼子から書留郵便で書類を送るので店の保証人になって欲しいといわれ、保証人になるが、いつの間にか、その店を処分し、しろちゃんの家のある大阪に移ったという。なお、しろちゃんの留守宅は埼玉だったが、大阪に転居したことはこの作品の中では触れられていない。しばらく年賀状のやり取りはするも、印刷された平凡な挨拶だけになる。
 更に年月が経ち、宮城県の消印で、祖母の家の近くで「入江」という一杯飲み屋を開いたが、肝臓の病気で入院してしまったというハガキが届く。入退院を繰り返しているが、店には常連客もでき親切だと書いてくるようなはがきのやり取りを少し続く。が、また、間遠になる。そんな時に東日本大震災が来る。テレビにベッドに横たわって流される姉に似た老女が数秒間写る。
 作品全体はよく計算されたいい作品と思う。ただ、祖母の家が宮城県というのは、ありえないわけではないが、九州の男性と東北の宮城県出身の女性の結婚は、特別の事情がない限り考えられない。東京とか大阪の専門学校、大学といった接点でも恋愛結婚が滅多に認められなかった時代だ。祖母の話の中に伏線が欲しい。また、埼玉から単身赴任のしろちゃんが大阪住まいになったこともどこかに説明があるとよかったと思う。
 いい作品だと思うが、終わりの部分は強引に東日本大震災を入れ、結論に引っ張りまわされているような感じがした。こういった部分を除くと素晴らしい作品だと思う。

【「噴き出物」納富泰子)】
 面白い作品だが、以前に読んだ漫画本のブラック・ジャックに、背中など身体から葉が生えてくるのがあり、それを思い出してしまった。老夫婦の独特な世界でもあり、私たちもこのような幻想と現実が入り混じった世界に入ると考えたら、ちょっと怖くなった。

【ヤマカガシ納富泰子】
 私(kitaohi)は、人間が死んだらまたすぐに人間に生まれ変わるなんてことはないと思っている。地球上には膨大な生物がいるのだ。人は死ぬと、1回は魚や鳥、昆虫など別の生物になり、その生物が生命を終えたら人間になるという思いを捨てきれない。作者がこの作品で書こうと思ったこととは違うが、この作品を読みながら、私に取り付いている死後の生まれ変わりに思いがいってしまい、集中できなかった。それだけ人間の死、死後の生まれ変わりといったことを読者に考えさせる作品といっていいのかもしれない。

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