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「渤海」59号

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<2011年8月15日(月)付、「文芸同人誌案内」掲示板より転載・投稿者:「クレーン」和田伸一郎>

第5回全国同人雑誌最優秀賞候補作を読む(6)
「風景―悪(わる)虫(むし)―」 山口馨
「家」にまつわる姉妹の物語である。「家」に縛られることなく自由に生きたいというのは、ひと時代前の大きなテーマだった。姉に想う人のあるのを知りながら、妹は先に結婚した。それが妹である主人公に原罪を意識させる。やがて両親も亡くなり、主人公の夫も病死した。市役所に勤務していた姉の夫は、定年を間近に控えて失踪したまま行方不明となっている。姉は帰ってくるというが、主人公には姉夫婦が解せない。その真相は最後まで明かされない。そうした生き方に関する問いかけを、読者は常に意識される。
まずタイトルが気になる。「悪虫」とはなにか?どうやら悪虫とは、「気付かぬ振りをして心中に秘かに別物を飼う」ことによって生じるらしい。自由を求めてなどと、青臭いことではなく、そこにはなにかしらの必然があるということなのだろう。いろいろ考えさせられる小説である。

カテゴリー:渤海

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