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「安藝文学」77号(広島市)

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7月7日 (火)付、「文芸同志会通信」http://bungei.cocolog-nifty.com/より転載いたします。

【「原爆・おぼえ書」文沢隆一】
 アメリカの投下した広島への原爆がウラン型で、長崎に投下したのはウラン型であることなど、原爆の製造法とその威力について、くわしく解説している。これによって、米国が日本人を対象に核爆発の威力の人体実験を行ったことが、明確に示されている。
 同時に、米国は日本軍の真珠湾攻撃を、日本への原爆投下の免罪符としていることについて、民衆への計画的な無差別虐殺とは、意味がまったく異なり、米国の原爆投下が国際条約違反であることを示唆している。
 こうしたアメリカの意識は、イラク戦争における劣化ウラン弾使用の、民衆への無差別虐殺攻撃によって、国際条約違反がいまだに続いていることを強く思い起こさせる。こうした事実を、幾度でも繰り返し記録するというのは、同人誌の果たす有意義な使命であろう。

 世界の話し合いを提唱するオバマ政権で、米国は軍事予算を4%増やしている。口では平和を説いていても、経済構造が戦争を必要とする構成になっている。どこかに敵対する国をもっていないと、不安なのである。彼らにとって、イランと和解することなど、とんでもない話である。その言動は偽善に満ちたものにならざるを得ない。戦争に使う爆弾は消費だけが約束されるもの。作りすぎても、また戦争をすれば、そこに消費が約束されている。経済活動の麻薬中毒のようなものである。10年以内にアメリカはどこかで戦争を始める可能性をもつ。そうしないと軍需関係の会社は倒産し、多くの人が職を失うからである。現在でも失業者は軍の志願兵となって収入を得ている。国費を爆弾で消費するのでるから、増税が必要で、その後は大不況がくる。ベトナム戦争の後、日本のバブル経済が、NYのビルを買収するまで、経済は疲弊した。わかっていても、イラク戦争後の不況に苦しむ米国民の誰が戦争に反対するというのだろうか。

【「はたちの茎立ち記」梶川洋一郎】
 定年を控えて、その前に地域の警察署の署長に就任し、そこでの警察署の日常の出来事が詳しく描かれている。キャリア組でない警察署の署長の視点を通して、その内部事情が具体的なのが面白い。「一灯照隅」という高邁な理想と現実の狭間を指揮する署長の奮闘ぶりを描く。地域貢献に力をいれるまじめなノンキャリア公務員の姿を通して、警察の仕組みの問題点も、作者の意図とは別に理解できる。貴重な報告でもある。

カテゴリー:安藝文学

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