【「高円寺へ(三)」後藤みな子】
連載の3回目を迎え、展開が気になるというより「作品世界を味わいたい、浸りたい」と思いながら本を開いた。作者がずっと追求し続けているテーマである母が、立ちのぼるように浮かび上がって来る。主人公の朝子は夫の隼と別れたが、これといった明確な理由があるわけではない。そこのところが、朝子の独白を書き連ねるのではなく、母の記憶や隼の手紙でみごとに書かれている。花崎老人やゆきさんと佐方先生、蒲団屋での一件など細部までこちらの感覚にするりと入り込むような実感を抱いた。
すとろんぼりの最近のブログ記事
【「樹滴(連作・六)」後藤みな子作】
回を追う毎に緊張感が高まってきているように感じます。今回は父親の死の場面から始まります。特別に凝った描写があるわけではないのに、主人公の視界や内面が生々しく伝わってきました。
ひとつの場面を描く場合、そこには雑多な情報があります。自分が表現したいものを伝えるためには、情報の取捨選択が必要なのだと感じました。表現したいものが作者の中でしっかり捉えられているからこそできるのでしょう。作者にとっての書くことの必要性みたいなものを感じます。
読んだ後も、本を開けば身震いするような生々しさがあります。
【エッセイ「どこかで」佐田亜紀作】
18歳のとき骨髄バンクに登録してから、数年後に骨髄提供するまでが詳しく書かれている。私も登録していた時期があり、協会から送られてくる資料を読んでもどこか実感できない部分があったので興味深く読んだ。実際に骨髄移植する際の記述が具体的で判りやすい。術後、骨髄バンクを介して提供を受けた方の家族からの手紙に「骨髄移植後、無菌室からでることができたとのこと! 涙が出そうになった。」とある。命の大切さが自然に伝わってくる。筆者にとって骨髄提供がどのような意味を持っていたかに共感でき、読後感がよかった。
2013年5月
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