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「楔」(くさび)第26号2009年

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9月23日 (水)付、「文芸同志会通信」http://bungei.cocolog-nifty.com/より転載いたします。

(1)
 特集が「忘れられないこと」で、会員のエッセイが集められている。
 エッセイばかりと思ったら【「奇妙な体験」赤羽文雄】【「待合室」衣川遊】などの創作らしきものもあった。
【「銀次郎の日記―年金生活十カ月の70歳の春」
 千葉に住んで、釣りと読書の悠々生活で、間もなく読書目標の2000冊を達成しそうだそうだ。
短歌・川柳を詠み、歌謡詞「野菊の里、千葉の城跡」を創作している。面白いので、掲げる。

「野菊の里、千葉の城跡」

 名もないままに 眠りも深く
 昔昔の 古代の人が
 姫塚古墳 その下で
 みるみる夢は どんな夢
 大きな愛を 野菊の里で

 名もないままに 眠りも深く
 昔昔の 夢ものがたり
 亥鼻城の 石の下
 つわ者どもの 物語
 しっているいる 石垣だけは

 名もないままに 眠りも深く
 昔昔の 夢ものがたり
 臼井の城の 石の下
 今も語るか ものがたり
 夢をめぐらす ロマンの里に


 名もないままに 眠りも深く
 昔昔の 古代の人が
 姫塚古墳 その下で
 みるみる夢は どんな夢
 大きな愛を 野ものがたり

(紹介者=「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)

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「文芸同志会通信」http://bungei.cocolog-nifty.com/より転載。
(1)2009年1月8日
 本誌は、特集「日本が好きか」が組まれている。この意見を読んで、改めてどうのようにすれば、より住み良い日本になるか、もう一度考えていただきたい(赤羽文雄編集人)という企画。それぞれの実感が語られ、大変内容の濃いものになっている。
 このような企画をしたのには理由があるようだ。編集後記によると、会員が12名に減って、原稿が数本しか集まらないとある。また、人数が減ると会費や掲載料の負担が大きくなり、それがさらに原稿の集まりを悪くする。経済のデフレスパイラルのように、縮小均衡への悪循環が始まるのだ。近く会費や掲載料の見直しをするという。同じ問題は多くの同人誌に起きていることなのではないだろうか。
【「日本が好きなのだが...」赤羽文雄】
 勤勉、親切、義理人情などの国民性、豊かな自然など日本が好きな特長をあげて、不満なのは政治のリーダーシップの不在だとする。最近の日本の傾向は、あまり好きになれないようだ。
【「わたしの好きな日本」桂路石】
 いま80余年の人生をかえりみる。アメリカ、ヨーロッパ、ニュージーランドと世界を旅してきたが、それも、旅が終われば、やがてわが家へ帰れるという安堵感が心底にあるからこそ、見るもの聞くものが楽しいので、どこにも帰る場所(母国・祖国)がない、いわゆる根無し草ならば、楽しいどころか、いろいろ見学し、おいしい物を食べていても、絶えず不安につきまとわれ、旅が楽しいはずはない、とする。ただ、現代の日本が「暖衣飽食で礼節を知る」の精神と逆の方向に向かうのではないか、と危惧している。
【「私の好きな日本」高取清】
 30年ごろ前に、イギリスに居た時に、日本で2年間過ごした英国人に声をかけられ、日本人は大変素晴らしい国だ、と賞賛され厚い待遇を受けた記憶を語り、大変に日本を誇りに思った、とする。これからもそのような高い評価を受ける国にしていきたいという。
【「日本が好きか」青江由紀夫】
 函館に38年間暮らしたが、北海道にアイヌ問題があるものの、それほどの対立もなく、独立の運動もなく、紛争にならないところであるという。新興宗教としての大組織の創価学会もあるが、北海道でも東京でも幹部の人々は紳士的で友好的であるという。筆者の実家は広島で、浄土真宗西本願寺派・正満時の分家であるとする。ある程度、社会的平等が保たれ、格差は少ないほうではないかとし、年金、平和と防衛のためのしっかりした政策をとればなお良しとする。
【「私の好きな日本=鴨立沢=」衣川遊】
 筆者は、神奈川県湘南の大磯に住んでおり、そこに「こころなき身にもあはれは知られけり 鴨立つ沢の秋の夕暮れ」と詠んだ西行法師の住んだといわれる草庵「鴨立庵」があることを知る。こうした情緒豊かな地域のあるところ愛する気持を語る。
【「私は含みのある美しい日本語と桜の国で育まれた『おもてなし』の日本文化が好きだ」武田修一】
 まさにその通りのことが書かれてある。上野公園の花見に行ったところ外国人も交じって、平和な光景が繰り広げられ、日本の素晴らしさを実感したことを述べる。

【小説「赤い袋」衣川遊】
 草間の友人、小西は長い闘病の末に、しまい身を刻んでの治療を試みて亡くなる。草間はその間の小西の苦しみ、その家族の苦しみを思うと、自分の身に当てはめて夜眠れなくなる。そして医師である岡田に、いつでも、すぐ死ねる毒薬が欲しいと頼む。岡田はノイローゼだからそのようなことを言うと、相手にしない。しかし、草間はいつでも毒薬を持っていれば、安心するのだから、としつこく頼む。あまりに度重なる願いに、岡田は秘密の毒薬を渡してやる。
 その毒薬を母の形見の赤い袋に入れた草間は、それをいつ飲むべきか考え、毎日を死と向き合う日々を送る。考えに考えた末に、草間はその赤い袋を捨てる心に到達し、捨ててしまう。それから、岡田医師の渡した毒薬はただの風邪薬だったとが、読者に知らせる話。
 このように簡単な荒筋が示せるのは、短編として優れているからである。また、話の重点に草間が毒薬をもって、いろいろ思いめぐらすところにおいていて、まさに小説としてこだわって書くべきところが書かれ、余分なところは省略しており、ムダがない。その点では小説の形式を正統的に持った短編として、見本になるところがある。
「楔」同人会事務所=〒230-0063横浜市鶴見区鶴見2?1?3、鶴見大学内、前澤担当。

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