視点の最近のブログ記事

2011年1月 9日 (日)付、「文芸同志会通信」http://bungei.cocolog-nifty.com/より転載いたします。

 本号には、筑紫亮「奪われる」50枚、石川テイ子「古印最中」7枚、小松三枝子「風のまぎれに」62枚、矢田山聖子「盧舎那大仏の不思議」(第二章)27枚、萩照子「萩・或る町にて」がある。
【筑紫亮「奪われる」筑紫亮】
 韓国に行った老いた日本人が、そこで心臓発作を起して入院する話。内容は日本の歴史的な支配をした時代が、今にまだ影を落とし屈折した心情を描く。民衆の交流のなかでのその過去にこだわる話は、書き残すことに意義がある。
【「風のまぎれに」小松三枝子】
 母親の面倒を見ること、昼の仕事、夜の飲み屋、ブンガクに関わって生きる女性の話。女性の生活感覚で、ブンガク活動する女性関係やライフスタイルが描かれている。親の状態から、ブンガクに入るきっかけにった女性像、そこで知り合う男性との関係。話の流れがところにより大きく変わり、書き込みにもムラがあるが、その分、細部に面白さがある。

カテゴリー:視点

2010年2月16日 (火)付、「文芸同志会通信」http://bungei.cocolog-nifty.com/より転載いたします。

【「コマチ」(第7回・最終回)浜田雄治】
 75枚。病んだ現代日本の文明批評としての長編小説。若い世代ではSF的なライトノベルで、想像上の未来を描くのが多い。それに対し、本作品は原始的共同体社会の潜入を描く。人間の過去社会への郷愁の味がする。

【「湯煙が消えた街」筑紫亮】
67枚。一時は栄えた温泉町から温泉が枯渇してしまい、その町の住宅団地の管理組合の不正経理をからめて、話が進む。登場人物など細部は面白いものがあるが、話は割れてしまった。全体の構想と物語の割り振りにムラがあるようだ。
 その他、石原テイ子「白いしゃがの花」7枚。矢田山聖子「おんな万時塞翁が馬」(5章)」42枚。随筆、萩照子「古都・許容」、吉岡和夫「シャーマン」を掲載。
 発行所=東京都多摩市永山5丁目4?9、大類方、視点社。
(紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)

カテゴリー:視点

「視点」第71号(多摩市)

| コメント(0)

9月24日 (木)付、「文芸同志会通信」http://bungei.cocolog-nifty.com/より転載いたします。

【「コマチ」(第六回)浜田雄治】
 原始共同体の世界に、看護師だった「ワタシ」がタイムスリップ的に入り込む物語で、今回は野草などを薬草にする日本の古代文化との遭遇を描く。
 同様の物語で、豊田一郎氏が、個人誌「孤愁」第6号で発表した「小羊に贈る夜想曲」では、原始共同体の世界をそのまま舞台にしており、読者がその時代性を現代と比較するような構造になっている。
 それに対し「コマチ」では、「ワタシ」がタイムスリップした現代人として、この世界を見るため、現代人の生活との比較を読者の想像に任すだけでなく、具体的にその違いの意味を示す手法になっている。
 いずれにして過去の世界を現代生活に登場させて表現、そこに生まれるイメージによって、現代の人間の批判する意図が感じられる。それは社会学の小説版といったところか。

【「海峡・魂との対峙」
 青函連絡船があったころに、「大雪丸号」で北海道を渡る時に感じた孤独というものを表現した詩的散文。流れる去る時間のなかで、孤独感が現在まで静止して持続していることがわかる。

「「事件」(2)吉岡和男」
 大菩薩峠の塩山に抜ける道筋に、戦国・武田信玄の支配下で稼動していた黒川金山の金山衆の生活跡を見る。その様子が面白い。
発行所=多摩市永山5?4?9、大類方。
(紹介者=「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)

カテゴリー:視点

「視点」第70号(多摩市)

| コメント(0)

12月24日付、「文芸同志会通信」http://bungei.cocolog-nifty.com/から転載。

本誌は70号をもって記念とする同人のエッセイを掲載している。第1号は36年前の昭和47年11月の発行だという。同人の野辺慎一氏のエッセイ「示せ、大類『視点』の意気込みを」で、2年ほどまえには同人仲間の浜田雄治氏が、オール読物新人賞を受賞した事実を書いている。その浜田氏は、現在も本誌に「コマチ」(5)という古代にタイムスリップした物語を連載している。
 メジャーの賞をとっていても同人誌に書くというのは、最近では珍しい現象である。
【「春を待つ」臼井明子】
 戦後間もない頃の話のようだ。史子が学生だった今の夫と結婚。生活の安定に苦労をしたが、落ち着いてきたので、夜間大学に通う。すると学校でMという同級生に出会い、愛を打ち明けられる。彼のプロポーズを逸らしてうちに、夫婦の間子供ができる。そこで夫の存在の重要性に気づき、Mとの間に何事もなく終わることが暗示されている。小説のスタイルではあるが、エッセイ風で、おそらく事実に即して書いたものと思われる。

【「マネー・ゲーム」清松吾郎】
 土地の値上がり神話が全盛時代。バブル経済の中で、不動産を転売して儲けようとする人々の話。

【「さよならルンバ」小松三枝子】
 夫を亡くし、35歳になる娘と同居している波子。今年、還暦をむかえた。近所の人に誘われてカラオケで遊んだ場所で男と知り合い、ラブレターを貰う。思わぬ愛の世界にひたることのできた新鮮さを描く。

【「深大寺・冬枯れに佇む」萩照子】
 冬の深大寺は、枯れ木ばかりで、咲く花もなく寒々しい。折角、冬枯れの寺を題材にしたのだが、昔の思い出ばかりで、もう少し突っ込みが欲しかった。
発行所=東京都多摩市氷山5?4?9、視点社

カテゴリー:視点

2013年5月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

カテゴリ