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「創」第7号(名古屋市)

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2012年12月22日 (土)付、「文芸同志会通信」http://bungei.cocolog-nifty.com/より転載いたします。

 本誌は、栄中日文化センター「小説を創る」教室編集とある。年に1回の発行だが、みっちり詰まった作品集。それぞれ自由闊達に書いてあるので、ぱらぱらと目についたものを拾い読み。このとき目が止まるものを自分は字面でよむと称している。以前は、商業読み物雑誌で人気作家の書いたものは、字面の感じでわかったものだが、最近は読者世代のちがいから、その見分けがつかなくなった。読者層が多様化したので、全体的な共通性はみつけづらいようだ。
【掌編「わら団子」本興寺更】
 「食うものはわら団子」しかなかったと苦労話をする父親に連れられ10歳で料理屋に奉公に出される。つらいからと言って家に戻っても追い返させられるだけだ。しかし、父親はその息子に影ながら支援の手をさし述べていた。短いなかで人情話にまとめているのに感心した。
【掌編「ゲームメーカー」卯月蓉】
 大学生がアルバイトでゲームのプログラムを請け負っている。そこに戦争のシミュレーションの依頼があったので、力作をものにして満足して送る。ある日、テレビのニュースを見ると、どこかの国で戦争が起きた。みると、自分の作ったシュミュレーション戦場がそこにあった。いかにもありそうで、(ありえないか)面白い。
【掌編「ゴミ屋敷」辻井まゆみ】
ゴミをためる人の性癖とそれを片づけに来る善意の隣人がいて、ゴミをめぐる話が続く。結局ゴミを片付ける人が行方不明になってみると、その人の家がゴミの山であった。人間のゴミを出す存在として描き、その矛盾した本質に迫りそうな奇妙な傑作。
【「運命と作為」伊藤良彦】
 年金生活者の夫婦の病気の話からはじまり、夫妻の病気の入院、手術の過程がだらだらと長く書いてある。このだらだらとしながら読ませるのが不思議な手法と言うか味で、こんな書き方もあったかと驚かせられる効果的表現。ヘタウマの漫画があるが、ヘタウマの文芸作品のようだ
発行所=〒458?0833名古屋市緑区青山2?71、安藤方。
紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭

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「創」第4号(名古屋市)

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2010年1月 4日 (月)付、「文芸同志会通信」http://bungei.cocolog-nifty.com/より転載いたします。

 本書のなかに、三田村博史氏のコラムがあって、もともとは教室誌で、原稿用紙5枚までというきまりで始まったそうである。それがいつの間にか、長いものになっていったという。たしかに、ここにあるショート・ショートは、書き出しがピリッとしいてムダがない。

【「謎の空席」長沼宏之】
 ショート・ショート。電車に乗っていると、空席が二つあって、そのうちのひとつに腰掛けたら、自分を変な顔でみられる。隣の空席は埋まらないで、みな避けているようだ。まるで、あの秋葉原の無差別殺人をした若者が、電車内で自分の隣に一度席をとった人が、急に席を変えたことで、心が深く傷ついたような、スリリングな空気を描く。なるほどと、というオチがつく。実に巧い。お見事と拍手の作品。

【「父の背中」岡崎博子】
  ショート・ショート。爪のネイルとガンで亡くなった父との思い出を語る。これはオチがないが、必要を感じさせない。娘の気持と感を素直に表現することで完結させている。

【「インカローズ・プロジェクト」大西真紀】
 年寄りを相手にする詐欺師の男女の仕事場にアルバイトで雇われた若い主婦の話。その割には長くムダ話が多い。現代という時代の特徴表現と作者の感性による夫婦関係の表現とが合成されている。欲張りな作品だが、どっちつかず。
発行所=〒458?0383名古屋市緑区青山2?71、安藤方、「創」編集部
(紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)

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ブログ「文芸同志会通信」に、以下の作品について、記事がUPされました。

「森のなかのボーリング場」阿見幸恵

「夢の途中」磯部勝

なお記事は、ここです。

「文芸同志会通信」さんは、記事の転載をお許しくださっているそうなので、下に、全文転載します。

【「森のなかのボーリング場」阿見幸恵】
「森野ボーリングセンター」のインストラクターをしている「私」が、職業人として持つべきコツや、ストライクをとった時の人々の得意顔を、観察して較べる話など。話は面白い。だが、散漫のまま終わるのと思っていたら、結末の数行に意表をつく、恋のやり取りがあって、そこが冴えていて、巧いストライクでおわっている。

【「夢の途中」磯部勝】
 伊勢湾台風という大洪水災害があって、その時代の様子が詳しく描かれているので、ちょっと驚かされる。筆致が若々しいのか、若い人が調べて書いたのか、と不思議に思った。そのときにミカというはすっぱな女がいて、その行状について、姿を消すまで描く。話も面白いが、かつての災害の記憶として、思い出させるものが多い。

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