AMAZONの最近のブログ記事

【「ひつじ団地のこと」権野宏子】
還暦間近の美奈子が高校の同窓会案内状を受け取る場面から始まる。差出人は当時、気になっていた男性だった。そこから「ひつじ団地」での30年にわたる回想になる。内容の要素がとても多い。団地管理について、そこでできた友人達との読書会、いじめや引きこもり、主人公の仕事と教育現場の変化、環境問題、夫との関係などなど。原稿用紙50枚ほどにこれだけ盛り込めば筋をたどるだけになりそうだが、そのような印象は持たなかった。主人公の柔らかい人間性が一貫してぶれずに綴られているからだろう。
「かもしれない」、「気もしていた」、「ようだった」、「だろうか」、「と思う」などの多用が読んでいて気になった。もっと言い切ってもよいのではないだろうか。

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「いま伝法物語」吉保知佐
伝法曙市場の鮮魚店ウオマサの主人である将やんと、従兄弟の哲ちゃんとの遣り取りを描いた作品。暮らしの細部が生き生きと表現されていて、関西弁がとても効果的でした。鱧の使い方も、とてもいいです。哲ちゃんはかなり深刻な病状でホスピスに入っているのですが、普通の人が日々の生活の中で抱く気持ちが汲み取れて読後感がよかったです。何の取り柄もない普通の私でもこんな生き方ができるのだ、と暖かい気持ちになりました。

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「草の壁」堀巖作
1981年9月号(No.217)より転載
法事で故郷へ戻った私は小学校の同級生、多恵子とおよそ30年ぶりに再会する。多恵子の足には大きな傷跡があり、小学2年生の時に私から付けられたものだと言うが、まったく記憶していない。混乱した私は当時の記憶を呼び起こそうとする。戦前の共同体における上下関係など人びとの生活が丁寧に描かれている。方言も効果的で心地よい。登場人物がそれぞれに誠実さを持って考え行動する様に惹かれた。特に傷を背負って生きてきた多恵子の生き方が爽やかで説得力がある。

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2013年5月

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