2013年1月アーカイブ

2013年1月 2日 (水)付、「文芸同志会通信」http://bungei.cocolog-nifty.com/より転載いたします。

【「わたくし小説」陽羅義光】
 デザイン会社を経営する鷹野司郎という男の愛人が、鷹野の死をきっかけにして起きた彼女をとりまく人間関係を語る。肩の力を抜いた筆遣いで、読ませる。が、タイトルを考えると意味が広いらしい。連載になるようである。リズム感がよく作者が気分良く筆を運ぶ感じがあることからすると、本来の作風なのかも知れない。ニヒリズムと隣合わせの感性のエネルギーが良く出ていると感じた。
【「田中正造と幸徳秋水」崎村裕】
 史実であるが、足を使ってよく調べたことをそのままぶっつけるのではなく、こなれていて分かりやすく、散文精神が発揮されたもの。史実的にも勉強になった。以前は論文調の文章の作家という印象を受けたが、印象は変わって感心させられた。田中正造の実直さや幸徳秋水のイメージを変えるような視点もあって、重要な資料となりそう。
【「虫と花と人」畠山拓】
 散文精神による散文で、東西の文学作品に対する趣向を活かしながら、70歳の文学的な感性で世間を語る。伊藤桂一氏の小説作法にある手法からすると、現在と小過去、中過去、大過去を出し入れ自由にして、のびのびとした筆が読ませる。散文に徹してどうでもよいような話を、ひきまわして作者が読者と勝負する気概も見えて、なかなか面白かった。
【「織田作之助を訪ねて(二)」藤田愛子】
 オダサクの生前の交流を描いて、つややかな筆運びが興味深い。とくに肺を悪くしているらしいオダサクの胸骨の出た姿が、なにやら格好よく見えるのが不思議な筆力が魅力的。
発行所=〒389?0504長野県東御市海善寺854?96、「構想の会」
紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一

カテゴリー:構想

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